おすすめの漫画を紹介する、今井書店の中島丈さん
おすすめの漫画を紹介する、今井書店の中島丈さん

 いよいよ間近に迫った東京五輪。新型コロナウイルスの世界的流行により、開催の是非や会場に観客を入れるかどうかなどさまざまな議論があった異例のオリンピックになる。ほとんどの人がテレビ観戦になるだろうが、世界のトップアスリートがメダルをかけて真剣勝負するせっかくの大舞台。競技のルールや面白さなどを事前に予習しておけば、より観戦を楽しめる。そこでおすすめしたいのがスポーツ漫画。ストーリーを通じてスポーツを身近に感じ、ルールの勉強もでき、競技をより深く楽しめる。今井書店グループセンター店(松江市田和山町)に足を運び、店員の中島丈さん(42)におすすめ作品を紹介してもらった。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 中島さん「有名なスポーツ漫画は数多くありますが、今回は比較的新しい作品を中心に選びました。長寿作品と比べると巻数も少ないため、手に取りやすいと思います」
 たしかに、名作とよばれる漫画は「読んでみたいけど、巻数多すぎ…」と、なんとなく手を出しづらい。なじみの薄い競技が題材だと特にルールを理解するまでに時間がかかってしまうため、読み進めるのに苦労してしまう。その点、巻数の少ない作品はサクッと読破しやすく、お薦めだ。

 さっそく紹介していこう。まずはサッカー漫画のお薦め3選。

さよなら私のクラマー(新川直司、講談社)

 

 『四月は君の嘘』の作者が描く、高校女子サッカー部の物語。テレビアニメ化、映画化もされている。サッカー漫画は数多くあれど、女子サッカーにスポットを当てた作品はめずらしい。東京オリンピックのなでしこジャパンも楽しみ! 全14巻。

ブルーロック(金城宗幸・ノ村優介、講談社)

 

 「店頭でも平積みしている人気作品です」と中島さん。「ブルーロック(青い監獄)」と呼ばれる施設に集められた青少年サッカープレーヤーたち。なんと全員がFW(フォワード。前衛ポジションで、攻撃の要)の選手。最強のストライカーを生み出すためのサバイバルゲームが始まる。既刊14巻。

ミスター・シービー(鋼本将也・谷嶋イサオ、秋田書店)

 

 FWをストーリーの柱にしていたブルーロックに対し、こちらはCB(センターバック。守備的ポジション)がテーマ。元サッカー日本代表の吉永が、ある日出会った高校生・千秋にセンターバックとしての素質を感じ育てていくというストーリー。原作担当は『GIANT KILLING』の綱本将也さん。既刊7巻。

 

 次は、大坂なおみ選手や松江市出身の錦織圭選手の活躍が期待されるテニス、3×3が公式種目に追加され盛り上がりを見せるバスケットボールなど、サッカーに引き続き球技がテーマの4作品を紹介。

switch(波切敦、小学館)

 

 双子の少年たちが主人公のバスケットボール漫画。優秀な兄・陸玖(リク)と比べられることが多い弟・雷夢(ライム)。バスケがうまく明るい性格のリクはみんなの人気者。対して弟のライムは常に低テンションなゲーム少年。しかし実は…? 既刊12巻。

送球ボーイズ(フウワイ・サカズキ九、小学館)

 

 「ハンドボールの町」の富山県氷見市を舞台に、高校ハンドボール部の奮闘を描く。高校1年、ハンドボール部員の凪はある日、東京から転校してきたという同級生・志熊(シグマ)と出会う。志熊はどうやらハンドボールに興味があるようで…?原作のフウワイ氏もハンドボール経験者。既刊19巻。

BREAK BACK(KASA、秋田書店)

 

 テニスの王子様、ベイビーステップに続くテニス漫画の金字塔となるか。無名の元テニスプレーヤーが、高校テニス部を率いて全国制覇を目指す物語。元テニス選手である作者はツイッター上で、作中のサーブを披露している(@KASA_TENIS)。既刊10巻。

青色ピンポン(音羽さおり、講談社)

 

 徐々に記憶を失う病に冒された少年、秋人。入学する高校の上級生である遥と出会い、彼が卓球に打ち込む姿に惹きこまれる。脳がそれを忘れても、身体が覚えている、そんなものが「どうしても欲しい」と願う少年の物語。全3巻。

 

 続いては、あの名作がカムバック! な作品や思わず見とれてしまうあの競技、新種目となった注目の競技などを描く4作品。

女子柔道部物語(恵本裕子・小林まこと、講談社)

 

 お父さん世代は読んで爆笑した名作『柔道部物語』の小林まことさんによる作品。「どこにでもいる、ちょっと元気な、ごく普通の女子高生」が柔道部員となり奮闘する様子を描く。原作はなんと、アトランタ五輪で日本女子柔道初の金メダルを獲得した恵本裕子さん。実体験を織り込んだリアルなストーリーは見どころ。既刊10巻。

夕凪に舞え、僕のリボン(黒川裕美、KADOKAWA)

 

 1984年、広島の港町が舞台。父子家庭に育つ気弱な少年・凛太郎。母親を亡くして以来ふさぎがちだった少年は、新体操に出会い、少しずつ元気を取り戻していく。「男子が新体操するのって、変なことなん?」。上下2巻。

弧を描く(岩井良樹・木下聡志、双葉社)

 

 アーチェリーを題材にした作品。引退を決意した五輪アーチェリー銀メダリストの榛堂は、北海道の山奥で狩猟をしながら暮らす少年・倫太郎と出会う。彼の弓さばきに惚れ込み、オリンピックに出ないかとスカウトするが…? 既刊3巻。

ザ・ボルダー(蜜浦ミノル、講談社)

 

 岩登りに一途な少年・清一郎はある日、同い年のクライマー・拓登と出会う。自分が何年も登れなかった岩を「まるで地面を滑っているみたい」にスイスイと登りきった拓登に触発され、ボルダリングの世界にのめり込んでゆく清一郎。五輪では新種目となり注目度が高まるボルダリング。意外と知らないルールも学べる。全3巻。

 

 「五輪つながりで、冬季五輪の種目を題材にした作品も持ってきました」と中島さん。アイススケート、スキージャンプが題材の2作品。次の冬季五輪は2022年2月、中国・北京で開催予定。え、もう来年? 

メダリスト(つるまいかだ、講談社)

 

 冬季オリンピック種目、フィギュアスケートを題材にした作品。スケート選手としての夢を諦め、スケートリンクのスタッフとして働く司はある日、泣き虫なスケート少女と出会う。やたらとオドオドしている少女には何やら訳があるようで…?既刊3巻。

ヒノマルソウル(飯島いちる、小学館)

 

 公開中の同名映画を漫画化。「恐怖との戦い」であり「少し間違えれば、死が待っている」スキージャンプ。夢破れた元スキージャンパーが「テストジャンパー」としてオリンピックを支える、事実に基づく物語。一巻完結。

 

 さて、最後はどんとスケールを広げ、オリンピック全体をテーマにしたこちらの漫画。なんともシュールで不思議な世界観にどっぷりはまってみては。

オリンピア・キュクロス(ヤマザキマリ、集英社)

 

 『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんによるオリンピック奇譚。古代ギリシャの壺絵師見習い・デメトリオスが、1964年東京五輪にタイムリープしてしまい…?20年4月にアニメ化もされた。既刊5巻。


 改めてラインナップを眺めてみると、「スポーツ漫画」の幅広さに驚かされる。『ブルーロック』以外は読んだことのない作品ばかりで、試しにすべて一巻ずつ読んでみたがどれも興味深かった。(特に『弧を描く』は絵が好みで、五輪種目としてのアーチェリーについても学ぶことができそう! と気になっている)。ルールや魅力を学ぶ入門書としても良し、熱いストーリーに胸を揺さぶられるも良し。楽しみ方が無限大のスポーツ漫画、気になるものがあればぜひチェックしてみては。