山陰中央新報の読者投稿欄「こだま」
山陰中央新報の読者投稿欄「こだま」

 読者の皆さんの投稿を掲載している本紙「こだま」欄を受け持って1年が過ぎた。社会問題や政治に関する意見、生活の中で感じたことが日々、手紙やファクス、メールで届く。興味関心のある事柄を探究した成果や生き方をつづった投稿もあり、思いの深さが伝わってくる。

 新聞社の社史をひもとくと、一般読者の投稿は「島根新聞」時代の1944(昭和19)年3月に「島根常会」として取り扱いが始まったとある。タイトルは「民声」「鐘」「道標」と改称。56(同31)年7月1日、現在の「こだま」になった。もうじき〝68歳〟を迎える。

 投稿内容は時代とともに変わり、戦時中は戦争に関する内容や勤勉・節約の勧めなど、戦後は多彩な分野で意見や主張が活発に繰り広げられた。世情が落ち着いていく半面、昭和40年代になると投稿数が減少。コーナー継続が厳しい時期もあったようだ。

 現在は身近な問題や暮らしの中の喜怒哀楽など、幅広いテーマで寄せられる。掲載された投稿への共感、賛同もあり、文字通り、こだまのように響き合う。山陰両県外からも届き、先日は子どもの島留学を通じて隠岐のファンになったという神奈川県内からの投稿も。縁の広がりがうれしい。

 こだま欄は実名での掲載。匿名性が高くなる世の中で、堂々と意見を伝えようとする思いは尊い。紙面の中で幅広い年代の人が投稿を通じて集う「広場」でもあり続けたい。(彦)