固定電話。携帯電話が主流となり、利用者は減っている(資料)
固定電話。携帯電話が主流となり、利用者は減っている(資料)

 隔世の感がした。松江市内の義務教育学校で先月あったICT(情報通信技術)を活用した公開授業。1年から9年生まで全員が1人1台のタブレット端末を持ち、教諭が設けた専用ページに入って端末上で意見を共有したり、まとめたり。黒板や大きな模造紙に交代で書き、時間をかけて発表した数十年前とは様変わりの光景だった。

 隔世の感といえば若手記者が、取材したい個人の電話番号が分からないというので「104番(電話番号案内サービス)で調べたら」と助言すると「それ何ですか」。そりゃそうだ。個人間でつながる携帯電話が主流の世代。電話帳をめくった経験もないか。

 ところで電話の発明者といえば、米物理学者のグラハム・ベルと答える人が多いだろうが、最初の発明者はイタリア人の発明家アントニオ・メウッチだという。

 米国に移住したメウッチは1854年に試作機を完成させるも、金欠で特許が出願できなかった。71年に仮特許を取得したが、これも更新できずに権利を消失した。ベルは76年、最初に特許を取得して実用化し、電話の発展に寄与したため「発明者」との認識が広がったようだ。

 悔しい思いをしたメウッチには130年余を経て光が当たる。米国議会が2002年6月11日、電話の発明に対するメウッチの貢献を認める決議を採択したという。22年前のきょう、メウッチはいい意味で、隔世の感を覚えたはずだ。(衣)