国際協力機構(JICA)が島根県海士町で実施する海外協力隊員の派遣前研修を知夫村にも広げようと、研修生を招いた体験ツアーが20日、実施された。畜産家や漁業者が豊かな自然を生かした事業を紹介し、直面する課題についても伝えた。
協力隊候補者の派遣前研修は2022年1月から海士町内で実施。3~5人が約2カ月間滞在し、遊歩道の整備や伝統芸能の再興、観光振興などに関与する。現在は10期目の5人が滞在中で、研修経験者は累計30人を超える。
知夫村での研修は半年前から地域おこし協力隊として活動する鵜木康平さん(27)=福岡県出身=が企画。鵜木さんは今秋、協力隊としてベトナムへ派遣が決まり、知夫村も研修の場にふさわしいと考えた。
知夫村役場で海士町に滞在する5人とJICA職員2人が漁師と協力隊経験後、23年前に移住した野田浩正獣医師(63)から漁業と畜産業の説明を受けた。
牧場では前井出隼也(としや)さん(41)から、飼料の高騰や子牛の価格下落といった厳しい現状を聞いた。
ソロモン諸島へ派遣予定の大和一輝さん(26)は「知夫は共生の思考を持っている人が多い。行くのは離島なので参考になった」と話した。(鎌田剛)