文字が盛り込まれた版画が並ぶ会場=松江市袖師町、島根県立美術館
文字が盛り込まれた版画が並ぶ会場=松江市袖師町、島根県立美術館

 文字の書体に興味を持ってもらう小企画展「もじのデザイン」が、松江市袖師町の島根県立美術館で開かれている。日常で使われる字体の紹介や、文字が刻み込まれた版画など34点が並ぶ。9月9日まで。

 雑誌のレイアウトの魅力を伝える展覧会「『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事」が28日から開催されるのに合わせ、書体の奥深さに触れてもらおうと企画した。

 会場には、普段使われている字体の特徴を紹介するパネルを展示。例えば、現在の教科書は、「UDデジタル教科書体」と呼ばれる字体が使われており、止めやはらいの形状を保ちつつも、読みやすさを重視していることから、文字の太さが均一になっていることを紹介している。

 一方、現代美術家の横尾忠則さんや銅版画家の山本容子さんが手がけた版画には、いずれも反転させた文字が描かれており、作者がどういった意図を込めて作中に盛り込んだのか想像を膨らませることができる。

 上野小麻里専門学芸員は「普段使われている文字は美術作品の中でもすてきなデザインとして使われていることに気付いてほしい」と話し、来場を呼び掛けた。

 (原暁)