子2人を抱っこする記者
子2人を抱っこする記者

 保育所のお迎えの帰り道、久しぶりに子ども2人から同時に抱っこをせがまれた。右腕に娘、左腕に息子を抱え、子は近くで顔を合わせて大はしゃぎだ。ずっしりとした重量感。大きくなったなぁ、と思うと同時に、特に娘は体重15キロに達した。「こうして抱っこできるのも、あと何回だろうか」と感慨に浸り、家路に就いた。

 娘は4歳になった。つたない赤ちゃん言葉はいつの間にかなくなり、お絵かきの絵は「頭足人」でなくなった。遊んでいる時は「ちょっと、おしっこいってくるわ~」と一丁前に1人で用を足すように。成長は著しい。

 拙企画「ペンと乳(父)」を読み返した。娘の出産予定日の1カ月前に酒を飲み、妻に父になる自覚を問われた時から約4年が経過した。妻の入院で約2カ月間、娘と2人暮らしをした際は保育所とサポートのありがたさ、時間を気にせず仕事に専念できる環境が当然ではないことを思い知った。生活や時間軸は子ども中心になり、自堕落だった自分を制御してくれていると思う。

 妻が記してきたように、子育ては思い通りにいかないことばかりだ。直接向き合い続けていると精神的にこたえることがある。とりわけ子の機嫌が悪いときは疲弊し、子ども相手にムキになることも。

 心が落ち着いたり、寝室で眠る子を見たりしたときは、「かわいいもんだったがや。イライラしてごめんだった」と思う。自分の場合、子へのいとおしさは余裕のない「いま」より、時間差で湧き上がることが多く、修行が足りない。

 スマートフォンの記録写真を数カ月さかのぼれば子の成長ぶりは歴然で、驚きと喜び、さみしさなど複雑な感情が入り交じる。しっかり大切な時間を重ねている。どれだけ子どもとの今をかみしめられているか。「意識しろよ自分」と、言い聞かせている。

 一方、子どもたちが大人になった時の世界はどうなっているか、こちらも関心事だ。かっこつけて言えば少しでもマシな世の中を残せないかと思う。現役世代の父として極めて微力だが、役に立ちたい。ペンを握る動機の一つになっている。

 (報道部・多賀芳文)

 =毎週土曜掲載=

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