「飲んだら乗るな 乗るなら飲むな」―。飲酒運転防止の標語としては古典に属するだろう。しかし、酒を飲んだらハンドルを握らない、運転しないことを呼び掛ける標語としてはよく知られている▼そんな標語が吹っ飛んでしまう〝事件〟が起きた。千葉県八街(やちまた)市で下校中の小学生5人が大型トラックにはねられ、2人が死亡し1人が重体、2人が重傷を負った。それだけでもショックだが、運転手が飲酒運転だったと聞いて二重にショックを受けた。事故ではなく「事件」だと感じた▼運転手は運送会社に勤めるプロドライバー。なのにコンビニで買った酒を車内で飲み、トラックを飲酒運転して小学生をはねたとみられる。車内からは複数の酒の容器が見つかっており、常習的に飲酒運転していた疑いもある▼今回の事件が都会の不良運転手による特殊な例だと思ったら大間違いだ。島根県警によると、県内で重傷以上の飲酒事故は2020年に14件あった。うち1件は死亡事故だ。19年は12件、18年は16件、17年は22件と、2桁の飲酒事故が毎年起きている▼飲酒運転なんかしない、と思っている人も多いだろう。だが、近年多いのは二日酔い運転という。深夜まで飲んで一夜明けて運転。朝起きて酒が残っているようなら絶対に運転はしないことだ。一生を棒に振らないように。相手の将来を奪わないように。「飲んだら乗るな」。心したい。(富)