土産店や飲食店が休業し、閑散とした日御碕灯台の周辺=11日、出雲市大社町日御碕
土産店や飲食店が休業し、閑散とした日御碕灯台の周辺=11日、出雲市大社町日御碕

 梅雨前線による記録的な大雨で市街地との間を結ぶ県道が崩落し、孤立状態が続く出雲市大社町の日御碕地区は、出雲市を代表する観光スポットの一つで、宿泊宿や土産物店などの民間観光施設が計20施設ある。13日からの3連休だけでなく、かき入れ時の夏休みシーズンへの影響も懸念され、関係者は「死活問題だ」と早期の復旧を願う。 (取材班)

 出雲市によると、道路の崩落による孤立地区には民宿などの宿泊施設が8施設(収容人数計346人)、飲食・土産店が12店舗ある。県の観光動態調査(2022年)によると、夏季の日御碕への観光入り込みは多く、夏休みが始まる7月下旬から増え始め、8月は1年間で2番目に多い11万3790人に上る。

 23年3月にオープンしたグランピング施設「レウナ」は25日まで臨時休業を判断。7月は13日からの連休を含め週末は全7棟の予約がほぼ満室状態で、スタッフが一件ずつ電話で休業を伝えた。8月も7割は予約が入っているものの、復旧状況によっては休業が長引く可能性がある。昨年は8月の売り上げが年間最多だったといい、高橋尚也チーフは「これからという思いだったが」と肩を落とした。

 日御碕灯台近くで海鮮丼などを提供する飲食店を経営する男性(48)は、当面の休業はやむを得ないとしながら、上旬だけで2カ月分近い売り上げを稼ぎ出す8月の影響を懸念。「営業できなければ痛い。(復旧の)めどだけでも知りたい」と願った。

 民宿と観光遊覧船などを営むヴィラいずもやは、次善の策を検討する。木村昌夫代表(55)は「海上ルートで来てもらうことはできる」と所有する船での誘客を準備。「日御碕は観光業で成り立っている。めげてはいられない」と前を向いた。

 日御碕地区から約10キロ離れた出雲大社周辺(出雲市大社町杵築東)の観光施設にも影響を心配する問い合わせが入っている。

 出雲大社近くのますや旅館は、宿泊予定者への説明に追われた。曽田利広社長(74)は「ここから日御碕に行く客も多い。道路の修復の見通しが不透明なのは心配だ」と話す。

 出雲観光協会にも市内の道路状況に関する県外からの問い合わせがあり、斉藤謙一事務局次長は「(日御碕地区を除く)出雲市は通常通り旅行ができ、出雲大社での参拝も可能だときちんと伝えていく」と話した。