全国知事会議であらわになった人口の東京一極集中に対する東京都と地方の認識の違いを巡り、島根県の丸山達也知事が8日の定例会見で「都知事は東京一極集中を問題と思っていないし、是正する気がさらさらないとはっきりしたのが大きな成果だ」と皮肉り、全国知事会が一枚岩になる必要はないとの考えを示した。
1、2の両日、福井市内であった全国知事会議では、創設した人口戦略対策本部の緊急宣言に記された「人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく」との一文に対し、東京都の小池百合子知事が「考慮しないなら賛同しかねる」と述べ、かたくなに削除を主張。丸山知事が「まとまろうと言うので、なまくらな表現でも了承したが、削除と言うなら『東京一極集中』と明確に書くことを検討すべきだ」と反発するなど、地方の知事は人口が吸い取られる実情を訴え、意見が割れた。
8日の定例会見で丸山知事は「ゲームで言えば、めっちゃ課金しないといけない」と述べ、東京23区の新築分譲マンションの平均価格が1億円を超え、子どもが学習塾に通う必要があるなど東京は高所得者でないと暮らしにくいと指摘。全国知事会の在り方を巡っては「(東京都以外の)46道府県で物事を動かすことを視野に入れて考えないといけない。東京一極集中を是とする人とそうでない人をはっきり分けないと問題の改善は進まない」と訴えた。
一方、小池知事は2日の記者会見で、緊急宣言を「特定の地域への人口や産業の集積と日本全体の人口減少をどう関連づけるのか、私は分からない。因果関係が不明確」と改めて批判し、「人口問題は国家的な課題。国がしっかりと対応するべきだ」との考えを示した。
(曽田元気)