公開討論会に臨んだ自民党総裁選の9候補=20日、松江市学園南1丁目のくにびきメッセ
公開討論会に臨んだ自民党総裁選の9候補=20日、松江市学園南1丁目のくにびきメッセ

 秋分の日を過ぎて、山陰両県もようやく最高気温が30度未満になる日が続いたが、日差しは依然として強く、秋の訪れはまだ感じづらい。

 「春夏冬」と書いて「あきなし」と読む希少な名字があるという。「商い」や「飽きなし」にかかることから、屋号にする飲食店もあると聞く。商売繁盛は良いが、本当に「秋なし」となる異常気象、引いては農林水産業への大きな影響は、商売どころではなくなる。消費者の一人としてもどうか勘弁願いたい。

 だが、コメの出来はどうなる、秋刀魚(さんま)は取れるかと素人が気をもんでも、自然は容赦ない。「実りの秋」はきちんと訪れるのかは、結果を受け入れるしかない。

 ただ思うのは、生産農家や漁師が次の年のやる気を失うような流れにだけはしてはならない、ということだ。その意味で政治の役割は決して小さくない。短期的に見れば所得減少への対応、中長期的には、食料自給率を支えるための担い手確保や、水を蓄える装置としての農地、森林保全など課題は枚挙にいとまがない。

 23日に新しいリーダーが決まった立憲民主党代表選と、あす投開票の自民党総裁選では、農政や地球温暖化対策が論争の主題までにはならなかった。本格的な論戦は、近く新政権が発足した後の国会か、はたまた1年以内には必ずある総選挙まで持ち越された。その時には「あき(空き)なし」「飽きなし」の議論をぜひ期待したい。(万)