2003年12月、護衛艦「しらね」艦上で、海上自衛隊の海上パレードを観閲する小泉純一郎首相(中央)と石破茂防衛庁長官(左)=神奈川県沖の相模湾
2003年12月、護衛艦「しらね」艦上で、海上自衛隊の海上パレードを観閲する小泉純一郎首相(中央)と石破茂防衛庁長官(左)=神奈川県沖の相模湾

 「首相になるためには才能と努力と運が必要だ」。5月14日夜、自民党の石破茂元幹事長は東京都内であった会合で小泉純一郎元首相から、そう助言を受けたという。「努力の中で義理と人情を大切にしなさいということも言われていた」と同席した山崎拓元党副総裁が取材陣に明かしている▼経験豊富で才能は十分とされる石破氏。国民には人気だが、人付き合いが悪く党内での人気がない-。そんな評判を踏まえての助言だったのだろう▼その3日後の講演会。当の本人は「(党内で人気がないのは)不徳の致すところ」とわびる一方、こう語ったという。「『この国をこうします』ということにおいて一致すれば、嫌いだろうが一緒にやるのがお国のためだ。どんなに好きな人でも政策が違ったら一緒にはやっていけない」▼まさに正論。曲がったことを嫌う性格が出ている。だからこそ「石破さんなら政治とカネの問題にけじめをつけてくれる」と渇望した国民も多かった。そんな“異分子”を今の自民党は容認するか否か-。岸田文雄首相の「次の首相」を決めるきのうの総裁選。「選挙の顔」として期待する国会議員票を集め、決選投票で競り勝った。運も味方した▼「これが最後」と背水の陣で臨んだ5度目の出馬でつかんだ総裁、そして首相の椅子。とはいえ、政治改革をはじめ難題が山積する。小泉元首相は今度はどんな助言を送るのだろう。(健)