国内小売り「2強」とされるセブン&アイ・ホールディングスとイオンに、割って入る新興勢力が台頭してきた。山陰両県にも展開するドン・キホーテやオーケー、ロピアなどである。いずれも独自の売り場や商品づくりを進め、価格訴求だけではない「エッジが効いた」経営で多様化する消費者の支持をつかんだ。
長らく2強が続いていた島根県高校サッカー界にも新たな動きが出てきた。冬の選手権の代表は立正大淞南と大社で近年分け合ってきたが、31年ぶりに両校がいない決勝となった。
実現したのは明誠と益田東の「益田ダービー」。いずれも勝てば初優勝という話題性だけでなく、明誠の白谷建人監督、益田東の野呂龍仁監督はともに情熱的な指導で知られる高校サッカー界の名将、故小嶺忠敏さんの薫陶を受けたという共通項があった。
決勝で両校は小嶺流の骨太なサッカーを土台に、細かなパスをつないでゴールに迫るエッジの効いたプレーを披露し、サッカーどころ・益田の復活を知らしめた。思わぬ点差で明誠に軍配が上がったが、ちょっとした勝負の綾(あや)で歓喜と落胆は逆転していた。
もちろん立正大淞南と大社は巻き返してくるだろう。2強に明誠と益田東を加えた「4強」になるのか、それとも群雄割拠の「0強」か。小売業界と同様、エッジが効いたチームが多くなるほど島根の高校サッカーのレベルはより高く、より面白くなる。(玉)