パリ五輪の陸上女子やり投げで優勝し、表彰式で笑顔を見せる北口榛花選手(中央)。日本選手は海外の五輪で最多の20個の金メダルを獲得した=8月10日、パリ郊外(共同)
パリ五輪の陸上女子やり投げで優勝し、表彰式で笑顔を見せる北口榛花選手(中央)。日本選手は海外の五輪で最多の20個の金メダルを獲得した=8月10日、パリ郊外(共同)

 きょう発表される「今年の漢字」は近年、ある法則が成り立っている。2012、16、21年はいずれも「金」が選ばれたことだ。ロンドン、リオ、東京であった五輪・パラリンピックで日本選手が躍動した年。海外の五輪で最多20個の金メダルを獲得したパリ大会があった今年も「金」は有力候補になるだろう。

 16年の「金」は東京都知事だった舛添要一氏を巡る「政治とカネ」の問題が重なった。8年後歴史は繰り返した。今年も政界は自民党派閥の裏金事件に揺れた。当方も4月の衆院島根1区補欠選挙、9月の自民党総裁選、10月の解散・総選挙で争点になった裏金問題を追い続けたため、他の一字がなかなか見当たらない。

 能登半島地震や出雲市大社町日御碕地区の豪雨災害で「災」はもちろん候補だ。あえてひねり出すと「五」か。五輪の活躍やドジャースの大谷翔平選手が米大リーグで史上初めて達成した「50-50」のほか、石破茂首相は5度目の総裁選挑戦で初めて勝利した。

 五輪・パラリンピックがあった年に「金」が選ばれなかったのは、08年の「変」までさかのぼる。米国の次期大統領に「チェンジ」を訴えたオバマ氏が決まったことなどが理由だ。

 今年も衆院選の与党過半数割れなど、日本政治だけ見ても変化はあった。ただ、政治とカネ問題は変わらない。変革の期待があった石破首相の「変」節が理由になればあまりにもさみしい。(吏)