今年を象徴する流行語となった「界隈(かいわい)」。もともと辺り一帯を意味するが、「共通の仲間」のニュアンスで使うようになった。アウトドア愛好家をひとくくりにした「自然界隈」、「伊能忠敬界隈」は日本中を徒歩で測量した先人にちなみ、長距離を歩くのを好む人を指すそうだ。
最も浸透したのは入浴を面倒くさいと感じる「風呂キャンセル界隈」だろう。毎日入るのが当たり前という文化風土がある中で「みんなも入っていないので、自分も大丈夫だよね」という帰属意識を醸成。キャッチーな語呂と相まって、交流サイト(SNS)で多くの共感を呼んだ。
こちらの界隈は大丈夫だろうか。アフリカのコンゴ(旧ザイール)界隈でインフルエンザに似た症状の原因不明の病気が広がり、免疫力が高いとされる10代を中心に140人以上が死亡したと報じられている。発熱や頭痛、せきなどに加えて貧血が確認され、呼吸器感染症の可能性があるという。
まさかとの思いがよぎる。遠いアフリカであっても一気に世界に広がる恐れが否定できない現代。まずは落ち着いて情報収集し、新型コロナで得た教訓を生かしたい。
山陰界隈もインフル、新型コロナが増加局面に入ったほか、マイコプラズマ肺炎も高い水準で推移し、三つが流行する「トリプルデミック」が懸念されている。強制できないが、しばし「マスクキャンセル界隈」を考え直すのもありかと…。(玉)