それは一本の間違い電話で始まった。米国コロラド州に拠点を置く百貨店が子ども向けに、サンタクロースへの直通電話を開設した。1人の子どもが電話すると、出てきたのは、米国の「空の安全」を守る中央防衛航空軍基地(CONAD)の司令官。百貨店が誤って司令長官席のホットラインの番号を広告に掲載してしまったのだ。
電話を受けた大佐は、サンタが北極から南に向かった形跡がないかを部下にレーダーで確認させ、子どもたちにサンタの現在地の最新情報を伝えたという。1955年のこと。
何ともメルヘンチックな話だが、事の真相は少し違うようだ。実は大佐が不機嫌に対応したため、電話がかかってこなくなったという。ところがその後、部下が行方不明の航空機を追跡するために使うボードにサンタの写真を置いたのを見て、広報に生かそうと発案。CONADがサンタのそりを追跡していると報道機関に伝え、「サンタ追跡作戦」が世に広まった。
間違い電話に大人の打算も加わった作戦の任務は、新設された北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が継続。仮想追跡ウェブサイトを開設し、プレゼントを抱えたサンタの居場所がリアルタイムで分かる地図をウェブ上で公開している。
今夜はクリスマスイブ。世界中の子どもたちがサンタからのプレゼントを心待ちにしているだろう。サンタの行方に気をもみつつ、メリークリスマス。(健)