箱根駅伝が好きだ。中学生の頃、順天堂大で2区を担った三代直樹さん(松江商高卒)の激走に衝撃を受け、山陰出身の選手には自然と目が向く。今年も駒沢大の伊藤蒼唯選手(出雲工高卒)が山下りの6区を区間2位で駆け抜けた。
今年101回目を迎えた伝統の大会で少し残念だったのが、参加資格が関東学生陸上競技連盟の加盟校に限定されたことだ。100回目の節目だった昨年は予選会に全国からの参加を認めた。山陰両県の大学はなかったものの、関東以外から11校が出ていた。
再び関東限定に戻ったのは、加盟校に所属する競技者の強化を最優先することや、交通規制などの問題で出場校数の増加が難しいことがあるという。とはいえ箱根駅伝の「全国化」は選手にとって関東以外の大学へ進学する選択肢が増え、競技の裾野が広がる期待がある。直近11年で8度頂点に立った青山学院大の原晋監督も全国化が持論だ。
昨年暮れの全国高校駅伝は、男女とも長野県の高校が優勝した。自然に囲まれた地方には高地や急坂も多く、意外と箱根の山に適した選手の育成ができるかもしれない。せめて予選会参加の道は閉ざさないでほしい。
地元で勝負する選手が増え、地方分散の機運が高まれば、東京一極集中の是正にも一役買うのではないか。まずは議論を続け、いつか三代さんや伊藤選手のようなランナーが山陰両県の大学から出ることを夢見る。(吏)