ドクターイエロー=2015年1月、JR博多駅
ドクターイエロー=2015年1月、JR博多駅

 「黄色は親しみやすくコミュニケーションが取りやすい色。(看板に使えば)お客さんが店に入りやすくなる」。一方で「安っぽいイメージもあり、飲食店で思った以上に価格が高いと、お客さんの反感を買いやすい」。

 カラーアナリスト・うえたさよりさんの「黄色評」だ。14年前、出雲市での講演を取材したのを機に、色彩が人に与える効果をテーマにしたコラム「『色』の力で会社は変わる!」を山陰経済ウイークリーで連載してもらった。

 そんな昔話を引っ張り出したのも、「ドクターイエロー」の愛称で親しまれる東海道・山陽新幹線の点検車両が老朽化で引退すると聞いたから。JR東海の「T4」は今月中に運行を終え、JR西日本の「T5」も2027年以降に姿を消すという。

 初代の「T1」は東海道新幹線が開業した1964年に誕生。黄色い車体は当初からで、夜間作業で目立つ色にしたとの説が有力なようだ。安っぽさより親しみやすさが勝るのか、子どもたちからの人気は絶大。惜しむファンも多く、おもちゃや関連グッズの売り上げは引退発表後の約1週間で9倍以上に増えたという。

 ダイヤは非公開で、目撃機会の少なさから「見ると幸せになる」という都市伝説も生まれたドクターイエロー。そう言えば『幸福の黄色いハンカチ』という名作映画もあった。黄色は幸せを呼ぶ? 雑然とした職場に黄色い花でも飾ってみようか。(健)