国民の4割弱が少なくとも1回目の新型コロナウイルスワクチンを打ったことが31日、政府集計で分かった。先行して接種が進む65歳以上の高齢者では7割超が2回目接種を完了した。高齢の感染者や入院患者の割合が減るなど接種の効果が出始めているものの、過去最大級の感染拡大が起きており、若い世代への速やかな接種が喫緊の課題となる。
菅義偉首相は7月8日の会見で「海外の例を見てもワクチンを1回接種した人が人口の4割に達したら感染者の減少傾向が明確になる」として月内の達成を目指す意向を示していた。目標にほぼ到達したが、インドに由来するデルタ株の影響で感染は急拡大しており、感染抑止はできなかった。
政府集計によると、31日時点で1回目接種を終えたのは4957万人で人口の39・0%、2回目は3602万人で28・3%だった。65歳以上に限ると、1回目3054万人で高齢者人口の86・1%に当たる。2回目は2644万人で74・5%だった。
まだ国のシステムへの入力が終わっていない人も多いとみられ、菅首相は31日までに高齢者の8割近くが接種を終えるとの見込みを示している。7月末までに希望する高齢者への接種完了を目指すという政府目標はほぼ達成された。
菅首相は30日、8月下旬には国民の6割が1回目、4割が2回目を終えるとの新たな目標を示した。
達成には単純計算しただけでも1日に100万回以上の接種が必要。「現状での1日の接種回数は150万~160万回程度」(河野太郎行政改革担当相)とされ、7月からワクチンの供給量が減少している中で、接種のペースを落としすぎないことが重要になる。
若い世代は、重症化リスクが比較的低いことなどから接種に積極的でない人が多く、理解を得るための啓発活動も課題となる。
脇田隆字・国立感染症研究所長は「(全人口の接種率は)せいぜい6~7割が精いっぱいかもしれない。どう上げるかが課題だ」と指摘する。