石川県輪島市の仮設住宅で、雪かきをする住民=8日午後
石川県輪島市の仮設住宅で、雪かきをする住民=8日午後

 今季一番の強い寒気により、山陰地方など日本海側を中心に広い範囲で大雪が続いている。各地で大雪を伝えるニュースを目にすると、8年前の苦い記憶がよみがえる。

 2017年2月10~11日、当時の勤務先だった鳥取市は90センチ超の積雪に見舞われた。当然、住んでいたアパート前の屋根がない駐車場は車を運転できるような状況ではなかったが、前月も大雪があり「もう降らない」との油断もあってか、いつもと同じ時間帯に出勤しようと自宅のドアを開けた。隣に住む女性を含めアパートの住人は既に雪かきをしており、申し訳なさと後ろめたさが残った。

 さらに運悪く直後にインフルエンザを発症。数日続いた早朝からの雪かきに加わることができず、回復後にようやく始めると、隣に住む女性から「できるじゃないか」と怒鳴られた。同じアパートの人たちと普段から会話が多くなく、事情を説明することもできなかった。

 普段から協力し合う近所付き合いができていれば、少しは対応も違ったかもしれない。大雪の時こそ地域コミュニティーのつながりや団結する力が試される。

 おととい、息子がプレーする松江市内の少年野球チームでの出来事でその一端に触れた。小学6年生の卒団式をいつも練習してきた野球場で開いてあげたいと、下級生の保護者や選手たちが前日と当日朝の計6時間、雪をかいた。チームの絆は一層深まったに違いない。(吏)