村上誠一郎総務相の国会答弁が波紋を呼んでいる。注目の発言が飛び出したのが13日の衆院総務委員会。個人的な見解と断った上で、将来的な人口減少を踏まえ、今世紀末には「極端なことを言うと県庁はいらない」と持論を展開した。
村上氏の論理はこうだ。今世紀末に日本の人口が5千万~6千万人に減ると想定すると、現在1700超ある市町村は約30万~40万人ずつで区切って「300~400市で済む」。国と市が直接対話する仕組みが「一番いいんじゃないか」と“県庁不要論”を唱えた。
その4日後にあった知事有志によるオンライン会議では「70年後のこととはいえ、国が上から地方自治体の数が減ってもいいようなことを言うのは、強い違和感を持たざるを得ない」と反発の声が出た。平井伸治鳥取県知事も「都道府県の役割を考えると、軽々にそれがなくなるという話があってはならない」とくぎを刺した。
村上氏の発言の背景には危機感がある。答弁翌日の会見で「人口が減っていく中、体制が維持できるか非常に危惧している」と趣旨を説明。知事が賛否を表明する姿を見ると、問題提起はできたのではないか。
冒頭の総務委で気になったのが、村上氏が「個人的な見解」と何度も断った際や質問議員が「個人的な見解を広めてほしい」と発言した時に笑いが起きたこと。人口減少を軽く見ていないか。もっと真剣な議論を望みたい。(吏)