<大山は さやかに晴れて水清く 湯けむりのぼる…>。ある歌の出だしだが、どれほどの方がご存じか。正解は鳥取県民歌『わきあがる力』。続く歌詞には「梨の実」や「砂丘」も登場し、郷土愛を感じさせる.
ところが認知度は低い。先日、松江市周辺で暮らす鳥取県出身者でつくる「松江鳥取県人会」の総会に顔を出し、参加者に尋ねてみた。すると知っていたのは30人中1人だけ。40年前に地元・わかとり国体が開催された際、式典で披露するため、小学校の授業で教わったという。それにしても少ない。テレビCMなどでも活用される島根県民の歌『薄紫の山脈(やまなみ)』は6人が「知っている」と手を挙げたのに。
『わきあがる力』の認知度の低さは以前から課題だったようで、8年前に鳥取県議会の一般質問でも取り上げられていた。平井伸治知事はその理由の一つに学校で教えていないことを挙げ、県民歌に触れる機会を増やす考えを示していた。
子どもの頃に覚えた歌は、大人になっても忘れないもの。郷土愛を育み、長い目で見れば地方創生につながりそうだ。
『わきあがる力』は明治改元100年記念事業の一環で、1968(昭和43)年に制作された。今年は“昭和100年”の節目。改めて郷土の魅力を見直す機会にできないものか。「隗(かい)より始めよ」ということで県人会の事務方に無理を言い、『わきあがる力』を会場で流してもらった。(健)