「きみは とても たいせつだよ!」
こんなふうに言われたことがありますか? 大切な人に言葉にして伝えたことがありますか?
「このせかいには たくさんの ひとが いるよね。おおきかったり ちいさかったり はだの いろも いろいろ。」
「ねぇ ゆびさきの しもんを みてごらん。そのしもんは ほかの だれとも おなじじゃないね。 きみだけの しもんだよ。すごいことだと おもわない?」

「かけまわっているこ おとなしいこ にぎやかなこも いる。きみは どんなこなの?」
「自分はどんな人?」と問われたら、すぐに答えられるでしょうか。足が速いわけでも、背が高いわけでもなく、人付き合いは特に苦手…。凸凹の”凹”ばかりを挙げてしまいます。
私が出会った子どもたちにも「いいところなんてない」「どうせぼくはバカだから」と言う子がいます。保護者にわが子の得意なことやすてきなところを尋ねても、「特にない」と言われることがあります。

しかし、接してみると、魚に詳しい子、折り紙が得意な子と、それぞれすてきな一面が見えてきます。
私たちはつい自分を卑下しがちです。理想の自己像と、自分が認知している自己像とのズレに苦しむこともあります。しかし、絵本にはこう書かれています。
「きみが たいせつだってことと いいこだってこととは ちがうんだ。」
2024年4月、島根県内の発達障害や精神疾患のある思春期・青年期前期の当事者たちが気軽に集える場をつくりました。月1回程度、おしゃべりやカードゲームを楽しみます。先日は出雲大社にお参りしたようです。監修者として、メンバー一人一人を大切にし、自主性を尊重した主体的な運営を重視しています。
サークル名や活動内容を決める立ち上げ会議の際、メンバーに一つだけ投げかけたことがあります。
「この会を発信する時、サークル名だけではどんな人の集まりか、分かりづらいかも。皆さんを表す言葉があるといいのでは?」
話し合いを経て、彼らは「チャレンジドたち」という言葉を選びました。それぞれがどのように自分を理解しているのか、これまでの歩みと、これからの展望が込められていると感じました。温かく見守っていきたいと思います。
ところで、この絵本は最後にびっくりする仕掛けがあります。ぜひ手に取ってみてくだいね。