JR西日本が2023年度での運行終了を発表した木次線を走るトロッコ列車「奥出雲おろち号」の存続の可能性について、島根県や沿線市町、JR西が議論する初めての検討会が4日、松江市内であった。島根県の松尾紳次副知事は「みんなが盛り上がる車両はそうそうない。われわれの思いを受け止めてほしい」と強調。県が先頭に立ち、沿線市町と一体となって存続を求める姿勢を鮮明にした。 (曽田元気)
県や沿線市町が要望する現行車両での存続や、後継車両の整備について意見交換。JR西の担当者は、車両の新造は1両当たり数億円かかり、おろち号と同系統の車両はいずれも老朽化して部品調達が難しく、存続は困難との認識を改めて示した。
雲南市の石飛厚志市長は、別の車両からの部品調達ができないか、さらなる検討を要望。県地域振興部の藤井洋一部長は「木次線を走る別の車両を使えないか」と述べた。
JR西米子支社の和田昇司副支社長は「地域にかわいがってもらっており(存続に向けた)地元の強い思いを感じた」と話した。自治体側から出た質問や意見は次回の24日に議論する。
検討会は島根、広島両県と、松江、出雲、雲南、奥出雲、庄原の両県5市町、JR西で構成し、島根県が事務局と調整役を担う。
2018年3月末に廃止されたJR三江線の存廃問題で県は当時、JR西と沿線自治体の間で中立の立場を取り、県議から「行司役では県民の理解を得られない」と問題視された。今回のトロッコ列車を巡っては運行終了発表後、丸山達也知事が沿線市町と共にJR西に出向くなど、主導的立場で存続を要望している。