まちづくりや観光振興、特産品開発など大田市大森町を対象にした研究の発表会がこのほど、同町内であった。石見銀山遺跡の坑道跡を利用してサツマイモを熟成する試みなどが報告された。
発表会は一般社団法人・石見銀山みらいコンソーシアムが大森町はさまざまな切り口で研究ができ、学びの場になっていることを伝えようと初めて企画した。中学生、高校・大学生、大人の7人が発表した。
島根県立大学総合政策学部4年の下柳田聡さん(22)は、江戸時代に大森の領民を飢餓から救ったサツマイモに着目。最大規模の坑道跡・大久保間歩内で2カ月間熟成させる研究に取り組んだ。
サツマイモの熟成は気温13~15度が向くとされ、2023年秋に実験した。間歩内は適温よりわずかに低温だったが気温は安定し、糖度を計測して一定の熟成が進むことを確かめた。観光客へのアンケートも実施し、間歩の熟成イモは通常の熟成イモと比べ、25%程度高値で購入してもらえるとの結果が出た。下柳田さんは「大森に関わる多くの人の協力で研究ができた」と感謝した。
そのほか、大森町の暮らしを感じてもらう「生活観光」に焦点を当てた邇摩高校生の取り組みや、竹を活用した環境教育の実践の研究などが報告された。(勝部浩文)