
ー下水処理工程で生じる消化ガスを合成メタン(eーメタン)に変えて都市ガスの代替燃料に活用できないかを探るため、カナデビアや日本下水道事業団が2024年夏、鳥取市の下水処理場で実証実験を始め、御社も参画していますね。
脱炭素化に向けてeーメタン活用が注目される中、地方の都市ガス会社として最も早く参画しました。下水処理場は全国どこにでもあってヨコ展開ができ、当社が起点になれば良いと考えています。
ー市の下水処理場の消化ガスを活用してバイオマス発電に取り組んできたことが参画につながりました。
当社を中心とするエネトピアグループで脱炭素化に最も貢献しているのが、鳥取市と共に出資した「とっとり市民電力」です。電力販売量の50%が水力、太陽光など自然由来で全国屈指の高い割合です。16年の電力小売り自由化で新電力会社が多く設立されましたが、電源調達コストの上昇などで多くが経営難となり、淘汰(とうた)されています。とっとり市民電力が残っているのは自給ができており調達先も多いからです。

ー創業者の児嶋幸吉氏は、明治期に市営電力事業を提唱していたと聞いています。現在、電力事業に力を入れているのは興味深いですね。
鳥取にまだ電灯もない時代、幸吉は鳥取の発展には電力が必要だと考え、公金で運営して市民に無料で供給しようと構想しましたが、賛同が得られませんでした。それを私が果たせたと思っています。
当社の哲学は幸吉の考えた電力事業が根本にあります。顧客の利便性と地域貢献、そして、常に新しいことに挑戦するDNAがあります。
ー時代に即した新たな挑戦のために、人材育成をどう考えますか。
デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)の推進がグループの基本方針です。こうした新しい取り組みは、若手を中心に人材を育成して進めたいと考えています。エネルギーに関する資格取得の支援など、若手が活躍できる環境整備に力を入れています。


変化の時代を生きるカギは、持続的な成長を通じて変化対応力を高めること。
自分のために、社会のために、成長することに貪欲であり続けていただきたいと思います。
仕事は挑戦の連続ですが、その中で自分を見つけ、成し遂げる過程が素晴らしい経験となります。
是非色々なことにチャレンジして下さい。未知の領域での発見が、きっと素晴らしい成果に繋がります。
松江市生まれ、鳥取市育ち(45歳) 32歳で代表取締役社長に就任。
趣味はゴルフとボクシング、音楽鑑賞です。とくにボクシングは最初、健康的なボクササイズから始めましたが、どんどんはまり、今では元プロボクサーのトレーナーと本気で打ち合っています。相手は強いですが、ひるまず向かっていきます!
