選挙の投票には三つの「壁」があるとされる。一つが「情報の壁」、二つ目は「交通手段の壁」、三つ目が「投票所の壁」だ。体の一部が不自由だったり高齢で介護が必要であったりする人にとって、壁はより高くなる。
交通手段の壁や投票所の壁は、移動投票所の登場や投票所のバリアフリー化などの改善が見られるが、情報の壁は周囲に分かりにくいだけに複雑だ。例えば、視覚が不自由な人にとって、候補者の主張以前に、どのような候補者が出ているのかさえ分からないといったことも起こっている。
選挙公報が点字版や音声版で届けられているが、行政のスタンスは原則「希望する人に届ける」というもの。権利に対する姿勢がこれで十分なのか。
もっとも選挙管理委員会には、どの有権者が障害者なのかといった情報はない。積極的に届けようとすると、福祉関係の部署に聞くのが良さそうだが、個人情報を他目的でやりとりできるかという問題も絡み一筋縄ではいかない。
まずは障害がある人が置かれた状況を可視化するため、投票率を調べてみてはどうか。手間はかかるが、有権者が約310万人もいる横浜市でさえ、直近の市議選で障害者、要介護認定者の投票率を調査している。その結果を見ると、要介護度や所有する障害者手帳の等級により数値に差があった。こうした試みから、取れる具体的な対策も見えてくるのではないだろうか。(万)













