米子―ソウル便の機体=3月、境港市佐斐神町の米子空港
米子―ソウル便の機体=3月、境港市佐斐神町の米子空港

 理よりも情が先行しているように見える韓国の政治や司法は劇場型だ。国会の弾劾訴追を司法が妥当とし、現職の尹錫悦(ユンソンニョル)氏が罷免されたことに伴う大統領選が来月3日に行われる。

 有力候補に挙がる野党第1党・共に民主党の李在明(イジェミョン)代表の発言は“反日闘士”と形容される。京畿道(キョンギド)知事時代は、地域に残る日本の植民地時代の影響を受けている校歌や校章、記念碑などを「親日残滓(ざんし)」として徹底的に調査する政策を実行したことで知られる。

 仮に大統領になったら、外交の場で「反日」を喧伝(けんでん)する態度はさすがに控えるだろうが、国民感情をコントロールするため、折々でカードを切ってくるだろう。日韓が領有権を主張する竹島(韓国名・独島(トクト))についても文在寅(ムンジェイン)元大統領時代のように、晩餐(ばんさん)会で「独島エビ」のような特産かどうかさえ分からないシロモノが出てくるかもしれない。

 大統領選前から先が思いやられるが、戦後80年を迎える今こそ、2次的な情報だけで感情を揺さぶられたり、ネットの画面の前でうつうつと憎しみを募らせたりしないで、直接自分の目で見る「親眼」の心を大切にしたい。

 外交官でない私たちは、「親韓」でも「嫌韓」でもなく、一人一人と付き合うところから始めたい。決して安くはないが、米子-ソウル便なら東京便と同じように手軽に足を運んで直接確認できる。せめてこの関係性だけは次の大統領に邪魔されたくない。(万)