多くの人でにぎわう大阪・関西万博会場の大屋根リング=22日午後、大阪市此花区の夢洲
多くの人でにぎわう大阪・関西万博会場の大屋根リング=22日午後、大阪市此花区の夢洲

 漫画家で文筆家のヤマザキマリさんが、ある対談で語っていた。「欧米人が日本に来て驚くのはイベントの多さ。一年中何かやっているから」と。宗教色は何処(どこ)へやら。祭りも神楽もハロウィーンも今では訪日客誘致の追い風だ。

 先週、大阪・関西万博に行った。前回1970年万博の「太陽の塔」のような巨神的シンボルがない代わりに、パビリオンを囲む木造世界最大の大屋根リングには文明が交差する「城塞都市」の雰囲気があり、多国籍バザー風の楽しさがある。

 ただ「並ばない万博」とは名ばかりで炎天下、入場ゲートは早朝から大混雑。ネット予約はすぐ埋まり、行列に耐えて1日5、6カ所巡れれば良い方だ。公式マップは使い物にならず、食事場所にも一苦労。大屋根の日陰が唯一の避難所だった。

 空飛ぶ車やアンドロイドが登場する「いのち輝く未来社会」にはたどり着けなかったが、各国の建築や映像展示は素晴らしかった。ゲームやアニメがけん引し、ものづくり立国からイベント立国に変貌しつつある日本。その飾らない日本の「現在」は案外楽しい。

 汗だくで一生懸命案内してくれる日本人、外国人スタッフのおもてなし精神にも好感が持てた。これから夏にかけ熱中症対策など心備えが必要となるが、また行きたいかと問われれば、答えはイエス。国策の「クールジャパン」を体感しに、今度は涼しい夕方にでも行ってみようか。(裕)