梅雨に入り、どんよりした天気が続く。山陰ではまとまった雨こそ降らないが、九州地方では大雨に見舞われて崖崩れなどの被害が出た。天気予報が気になる日々が続く。
この時季になるたび、高校生の時に経験した1983(昭和58)年の「58豪雨」を思い出す。山の中の一軒家。夜中に起こされると、激しい雨が地面をたたいていた。裏山が崩れる恐れがあるため、車で避難しようとしたが、家の前を通る道路には谷からの土砂が流入。反対方向も同様に通り抜けられず、孤立状態で夜を明かした。
近くの小さな川が濁流と化し、川岸や水田の一部が流されていた。時間がたつにつれて明らかになっていく島根県西部の大きな被害。豪雨の恐ろしさが心に刻み込まれた。
あれから42年。気象庁のホームページによると、1時間降水量80ミリ以上、3時間降水量150ミリ以上、日降水量300ミリ以上などの強い雨は「1980年ごろと比較して、おおむね2倍程度に頻度が増加している」という。極端な天候はデータでも明らかなようだ。梅雨や台風の季節に限らず、災害の可能性が高まっている。
58豪雨の時は特段の備えもなく、いつ降りやむか分からない雨におののくだけだった。災害時に適切な判断を行うには、どう行動するかをイメージしておくことが大切だそうだ。避難場所や避難経路の確認など、自分のこととして考え、心構えを持っておきたい。(彦)