森の中を風が吹き抜ける。池の水面にさざ波が立ち、木の葉が揺れた。その風景を目にしたデザイナーの居相大輝(34)は「そうしたら、たなびく感じにしよう」と、アトリエでハサミを手にし、曲線を描くように布を切り始めた。

 兵庫県朝来市で家族と暮らし、一点物の服を作る。デザイン画は描かず裁断や縫製、染色も1人で行う。季節の移ろい、ふと見た景色、布の手触り…。手がける作品は一瞬一瞬に感じたことの結晶だ。

ケアされる

 京都府内の高校を卒業後、「命を救う仕事がしたい」と200...