戦没者の追悼法要が23日、益田市横田町の正法寺であった。戦後80年の節目を迎え、参列した遺族らが戦没者を弔い、平和への思いを新たにした。
盆の時期に合わせて2019年から開いており、今年は50人の戦没者を追悼するため、市内の遺族ら約30人が参列した。読経の後、戦没者の顔写真を前に参列者が献花し合掌した。
当時25歳の軍医だった父方の伯父を亡くした正法寺遺族会の松本祐二会長(72)は、祖父が戦後20年を過ぎても、命日には戦死したわが子の写真を黙って見つめていた姿が忘れられないと回想。「悔しく、無念だったのだろう。終戦記念日さえ知らない人が増えているが、悲惨な戦争をしてはならないと思いをはせてほしい」と語る。
正法寺の松本治総代長(65)は「戦火を体験した人も、状況を知る遺族も減っている。率直な思いや記憶を語り継ぐ必要がある」と説いた。
戦後80周年を機に平和を願って、正法寺の役員らが寺に飛龍の木彫り彫刻を寄贈し、寺門に掲げられた。(堀尾珠里花)