「もはや神々の御力をいただかんと-」。記録的な渇水で、農作物に恵みの雨を求め、JA鳥取中央が先月末、倉吉市内の神社で営んだ雨乞い神事。祝詞を上げる神職に、頭を垂れる関係者。その後の雨で特産・二十世紀梨の玉太りの伸びが前年や平年にようやく追い付いたと聞いた。ほっとした。
日々現場で天候、自然の偉大な力を感じ、あがめているからこそ、時代を超えて続く風習だろう。困ったときだけ頼みにするわが身を改めて省みている。昔も今も人は神にすがる存在。それを忘れてはいけないと何度も考えさせられる夏だ。
人類が宇宙を飛び、進化する人工知能(AI)を生み出す時代にあって乗り越えられない重い課題の一つに、世界で続く「戦争」がある。
戦後80年の今年。終戦直前に鳥取県大山町で起きた「大山口列車空襲」の惨事を伝える「演劇集団あり」の舞台『昭和二十年、夏。』が今月9日、境港市内であった。米子市を拠点に10年以上前から上演を続ける添谷泰一団長(64)は「証言を聞いた『最後の世代』として義務感がある」と話す。
人間が人間であるため、神が与えた「最後の課題」として「人はなぜ戦争をするのか」を問う演劇だ。欲望、過信、おごり。そんなものはいつか乗り越え、国境も人種の違いもなく笑い合える。私たちの強みは「信じる力」だと気付かされる。米子市文化ホールでもきょう昼夜2回上演される。(吉)













