宮崎商にサヨナラ勝ちし、校歌を歌った後にあいさつに向かう開星ナイン=6日、甲子園
宮崎商にサヨナラ勝ちし、校歌を歌った後にあいさつに向かう開星ナイン=6日、甲子園

 夏の甲子園はきょう決勝を迎える。サヨナラ勝ちした開星の初戦を含め、延長タイブレークが多かった今大会。激戦を制し校歌斉唱する勝者と、がっくりと肩を落とす敗者。対照的な姿が見る者の胸を打つ。

 同時にある疑問を抱いた。どうして高校野球は勝者が校歌を斉唱するのか-。甲子園の全国大会に限らず、多くの地区大会でも歌っているようだ。同じ高校スポーツでも、インターハイのバスケットボール男子で初優勝を飾った鳥取城北の選手たちが校歌を斉唱する場面はなかった。

 調べると、発案者は1928年のアムステルダム五輪陸上女子800メートルで2位に入り、日本人女性初の五輪メダリストになった人見絹枝さんだそうだ。当時、人見さんは大阪毎日新聞運動課の記者だった。五輪の表彰式でメインスタジアムに国旗が揚がり、国歌が吹奏される様子に感激し、同社が主催する春の選抜大会での校歌吹奏と校旗掲揚を提案。翌年に採用され、夏の大会にも広がった。

 校歌斉唱がうれしいのは選手だけではないだろう。昨夏、母校の大社を応援するため甲子園に2度足を運んだ同僚は、ベスト8入りの快進撃に「感激して泣きながら校歌を歌った」と話していた。

 翻って、40年前に卒業したわが母校に甲子園出場経験はない。その上、22年前の高校再編で統合され、校歌さえ変わってしまった。高らかに校歌を歌う球児や応援団がうらやましい。(健)