自民党の総裁選挙管理委員会であいさつする逢沢一郎委員長(左)=19日午前、東京・永田町の党本部
自民党の総裁選挙管理委員会であいさつする逢沢一郎委員長(左)=19日午前、東京・永田町の党本部

 国政選挙で連敗を喫し、東京都議選でも議席を減らした自民党の石破茂総裁(首相)の粘り腰で混沌(こんとん)とする政局。7月の参院選の総括がまとまるとみられる今月末ごろに森山裕幹事長が進退をどう判断するか、ひいては首相の出方が耳目を集める。

 「耳目を集める」の対義語は「見向きもされない」。見向きもされない、と言っては大変失礼だが、通常は人事でも全く注目されない党役職の動向が、一連の政局の取り回しに重要な役割を担っている。

 先日の党両院議員総会を仕切った有村治子総会長と、総裁選挙管理委員会のトップである逢沢一郎委員長。有村氏は党則に基づく総裁選の前倒し実施に向けた手続きを同選管に委ねる判断をし、これを受け、逢沢氏も当然ながら、粛々と党所属国会議員や都道府県連に意思確認をする構えだ。

 石破氏は世論の動向や日米関税交渉の行く末だけでなく、もしかしたら、参院選総括の「書きぶり」や今後も続投する場合の人事まで踏まえながら、先をにらんでいるのかもしれない。ただ、総裁や首相に専権事項は多々あれども、日本は独裁国家ではない。

 1年前の総裁選出馬時に政治資金問題を念頭に発した言葉は「ルールを守る」。策をひねり出しても、いまさらこの言葉だけは覆せそうにはあるまい。孤独なトップの心境を推し量ることは凡人にはとてもできないが、「人事を尽くして天命を待つ」が適当か。(万)