『怪談』に収められた「青柳の話」は、江戸時代中期の怪談奇談集『玉すだれ』巻3「龍情霊妖(りゅうせいのれいよう)」を小泉セツが語ったものと思われます。『怪談』には、ほかにも「十六桜」「乳母桜」という樹霊をモチーフとする作品が編まれ、小泉八雲のアニミズムへの関心の深さがうかがわれます。

 日本人の樹霊信仰に興味を抱くのはやはり松江時代のこと。1891(...