この物語は、小泉セツが実母チエの体験談として聞かされていたもので、それを八雲が再話して「キツネ」(『知られぬ日本の面影』)に紹介したもの。後に、長男一雄は『父小泉八雲』(1950年)で、セツから聞かされた同じ物語をもう少し詳細に語ります。

 一雄によれば時は「慶応時代の雨期の頃」、「祖母(チエ)...