世界中で人気者のドラえもんは、藤子・F・不二雄さんが生み出した22世紀からやって来た「ネコ型ロボット」という設定だが、猫といっても二足歩行だし、どう見ても「ヒト型ロボット」としか思えない。
ロボットの進化は人工知能(AI)という頭脳を得て、急加速した。工場の生産ラインや物流倉庫で「働く」のは普通の光景。無人運転のロボタクシーはアメリカなどで走り回っている。
次に来るのがヒト型ロボット(ヒューマノイドロボット)。なぜヒトの姿なのか。理由は人間と同じ空間で同じ道具を使って動けるからで、台所に立って料理をし、介護現場で活躍し、楽器も演奏する。いよいよ人間界に居場所を築く段階だ。
ヒト型ロボット市場は2035年に5・5兆円。その先は自動車産業に代わる数百兆円産業に成長し、40年には人類よりロボットが多くなるとの予想がある。そのロボットを生産するのはアメリカ、中国などの先端企業だが、かつて「ロボット大国」といわれた日本は乗り遅れた。
ドラえもんの母国・日本は、高専のロボットコンテスト(ロボコン)で関心が高まり、2000年にホンダが世界初の本格的二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」を世に送り出すが、22年に開発を終了。こんなことで22世紀に間に合うのか、ドラえもんでなくても心配が募る。まだ間に合う。ここは国を挙げて若い頭脳を応援し、夢を託したい。(裕)













