ドン、ドン、ドドーン。夜のしじまに新聞社の屋外喫煙スペースや自宅の玄関横で一服していると、どこからか音が聞こえる。鼕(どう)行列の練習だ。長年親しんできた松江の秋の風物詩。季節の移ろいを感じる一方、気象庁の長期予報が気になった。
3年連続で更新した最も暑い夏を経て、今年の秋は短く、急に冬を感じるという。日本から四季がなくなるのではないかとの懸念が頭をよぎる。
異常気象は食にも影を落とす。知人から直接コメを買っているが、昨年カメムシ被害と高温障害で食卓から消えた。1年後、稲刈りの季節を迎え、品種改良して出直すと言っていた知人から「量的にはまずまず」との連絡をもらった。食卓に日常が戻る日が待ち遠しい。
政治も移ろう。「自民党1強」が当たり前だった時代から参院選大敗で結党以来初めて衆参両院で少数与党となり、「石破降ろし」の末の総裁選は5人が名乗りを上げた。失った信頼を取り戻せるか。目の前の生活だけでなく、国民の中にある将来への不安を解消できるか。比較第1党の「解党的出直し」の行方は、社会の日常に大きな影響を及ぼす。
世界は混乱期にある。地球温暖化やコロナ禍、各地で起きている衝突と分断。政治も戦争も異常気象もカメムシの大量発生も根本は同じだ。人間が作り出し、作り直すのも人間しかいない。一人一人が自覚しなければ尊い日常はどんどん失われていく。(添)













