出雲市斐川町直江、斐川西中学校の1年生15人がこのほど、近くの直江一式飾り館で、市指定無形民俗文化財の直江一式飾りの「しまねっこ」を作り上げた。
同校はふるさと学習の一環で2019年から希望者を募り、制作体験をしている。生徒は直江一式飾り保存会(上野達雄会長)の8人の指導を受け、陶器の合わせ方や針金でうまく固定する方法を学び、2日間で計6時間、集中して取り組んだ。
焼き魚皿や花器、とっくりなど約200枚の陶器で表現し、高さ2メートルの「しまねっこ」を仕上げた。伊藤桧日斗さん(13)は「みんなで話し合いながら作るのが楽しくて、普段関わりのない同級生とも仲良くなった」と話し、達成感をにじませた。
上野会長(73)は「進学で地元を離れても直江の伝統を思い出して、うまくいけばいつか参加して次の時代につないでくれたらうれしい」と目を細めた。飾りは町内の病院や図書館などを2カ月ごとに巡り、1年間展示される。
直江一式飾りは約300年前、直江地区の豪商が出火のおわびに店の道具で人形を作り、近くの秋葉大権現に奉納したのが始まりとされる。 (今井菜月)