広島県尾道市の山あいに暮らす石井哲代さんは1920年生まれ。小学校の教員になり、26歳で結婚。退職後は畑仕事と民生委員の活動に精を出し、83歳で夫を見送ってからは、親戚や近所の人に支えられ1人暮らしを続けている。
100歳を超えても元気な姿が話題となり、地元紙で時折紹介される日常を楽しみにする人は多いそうだ。そんな哲代さんが映画になった。3年にわたって追ったドキュメンタリー『104歳、哲代さんのひとり暮らし』(2024年製作)。
自宅前の坂は、転げ落ちないように後ろ向きになって下る。石垣や舗装の隙間から顔を出す雑草を抜きながら。「ふう(世間体)が悪いけえ」と家の周りの草を抜くのは日課だ。子宝に恵まれず本家の跡取りを産めなかったことを今でも申し訳なく思っているという。家を維持することは、哲代さんの一つの責任の表れかもしれない。
作中の3年間で、畑の野菜で手作りしたみそ汁は宅配弁当に変わり、持病で入院することも増えた。草抜きも難しくなったが「昔ほど(草が)憎らしいとは思いませんね。ちょっとでも隙間があったら芽出しますから。強いもんですねえ草は」と受け止める。
同作は、「しまね映画祭2025」の作品として今後、大田市など5市町で上映される。いいなあと思える人生を送る人がいることは希望だ。松江市内での上映後、会場からは自然と拍手が起こった。(衣)













