「勝利を確信できなくなった」

 内戦が続くミャンマー東部カレン州。民主主義は取り戻せるのか、軍事政権を倒せるのかと尋ねると、兵士アルソー(24)はそう打ち明けた。

 最大都市ヤンゴンで物理学を専攻する大学生だった。2021年のクーデター直後に武装組織に加わり、ジャングルで戦闘を続けてきた。右腕と右脇腹に前線で負った傷痕がある。

 電気のない暗い夜、長いインタビューに応じたアルソーは時折24歳とは思えない疲れた表情を見せた―。

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 ミャンマーの内戦は、2021年2月のクーデターでアウンサンスーチー氏から実権を奪った軍政と、これに抵抗する民主派との戦いだ。軍政は中国やロシアの支援を受け、民主派を排除した総選挙を強行して「民政復帰」の体裁を取り...