車を走らせていたら、寺の境内に立つ大イチョウの鮮やかな黄色が視界に飛び込んできた。吸い寄せられるように車を降りて寺の門をくぐると、足元に美しい落葉のじゅうたんと、つぶれた実から漂う特有の臭い。木々はすっかり冬支度に入っている。
イチョウの落ち葉は、線路脇などに敷き詰めて雑草対策に活用されると先ごろ知った。光合成を遮る効果に加え、イチョウは周囲の植物の生育を阻害する化学物質を放出し、その働きによるという。アレロパシー現象(他感作用)と呼ばれ、動物のように動くことができない植物の生存競争に勝ち残るための手段とされる。
こちらは「引っ越しできない隣国同士」の日中関係に亀裂が入り、ここまでこじれると相手を忌避する何か見えない化学物質が放出されているような気さえしてくる。首相の台湾有事を巡る国会答弁が地雷を踏んだ格好だが、これほどの中国の反発と緊迫した事態を想定していたのかどうか。
どうにも落としどころが見つからない状況となったところで、米大統領が首を突っ込んできた。対立のエスカレートを避けるよう要請してきたのだとか。
自然界の植物は多様な種が交じり合って生育し、植物同士のアレロパシーが作用して微妙なバランスが保たれているという。大国間のパワーバランスが働いて、事態は沈静化へと向かうだろうか。長く厳しい冬の時代の支度が必要かもしれない。(史)













