日本奏楽コンクール・管楽器部門1位の賞状を手にする小林未侑さん=江津市江津町の練習場
日本奏楽コンクール・管楽器部門1位の賞状を手にする小林未侑さん=江津市江津町の練習場

 今春、東京から江津市内に移住したクラリネット奏者の小林未侑さん(22)が8月にあった日本奏楽コンクールの管楽器部門で1位となった。自然環境の中で技術と感性を磨き、音楽家として成長できたという。「もっといろんなことを吸収し、実力をつけたい」と意欲的だ。 (福新大雄)

 演奏動画による予備審査と予選の二つの関門を通った4人による本選が8月14日、都内であり、高い表現力や演奏力が認められ、年齢制限のない「一般A」クラスの1位となった。

 山梨県生まれで東京音楽大クラリネット科を卒業。学生時代はオーストリアのウイーン国立音楽大学に留学し、皇太子ご夫妻(現在の天皇、皇后両陛下)の前で演奏したこともあるという。「未知の土地でいろんな人と関わり、成長するきっかけにしたい」と、音楽による地域づくりを進める石見音楽文化振興会(江津市)の公募に応じた。

 市役所に勤務し、窓口で住民票や印鑑証明書の発行業務などを終えた午後7時ごろから市内の練習場に行き、日付が変わるまで音階やエチュードの練習に明け暮れる。

 小中学生の指導や地元コンサートの出演といった、学生時代に経験できなかったことにも取り組み、こうした市民との触れ合いも感性を育む一助になっている。

 小林さんは、「音楽家の仕事は誰かに感動を届けることだ。そのために人として成長したい」と語った。