アフガニスタン出身で島根大留学生のラミンさん(29)=姓は匿名=が9月末に迫る卒業後も日本にとどまれるよう、大学と国際協力機構(JICA)が支援に動き始めた。就職など在留資格が得られるよう後押しする。母国で命の危険におびえ、国外退避を望む修了生16人や、10月に受け入れる予定の留学生8人が日本で暮らせる支援も視野に入れる。
ラミンさんは2019年に来日し、島根大大学院自然科学研究科で稲作を学んできた。8月にイスラム主義組織タリバンが政権を掌握した母国に帰れば「外国と関わりがあった」として命を狙われかねない。卒業後も島根に残りたいと希望するが、学生でなくなると奨学金が打ち切られ、経済的にも苦境に立つ。
「日本により長くいられる道を探したい」というラミンさんの意向もあり、大学は専門知識を生かせる企業への就職をサポートする予定。研究者など高度な専門職のビザが獲得できれば永住権獲得も見えてくる。学生寮など家賃負担の少ない住まいに入れるようにし、経済的に自立できるまで支える策を探っている。
修了生や新規の留学生、その配偶者と子どもについては、在留資格取得の準備を進めていたが、自衛隊が救出できず、国外退避に至らなかった。ラミンさんと同様に命の危険におびえ、自宅で隠れるように過ごす日々だという。
国外退避のめどは立っていないが、その時に受け入れられるよう検討を進める。島根大生物資源科学部の増永二之教授は「次のチャンスを逃さないように準備を整えたい」と話す。
(森みずき)