その朝最初に聞こえたのは、繰り返すスマホのアラーム音だった-かつてラフカディオ・ハーンが松江で迎えた朝の詩的なリズムとは程遠い。彼は「大地の鼓動」と称した米つきの規則正しい音で目覚めたが、私は夜明け前にセットしたアラームに頼り、彼の足跡をたどって松江の街を歩こうと決めていた。早朝の街に足を踏み入れると、辺りはまだ闇の中、ハーンのどんな描写よりも静かだった。寺の鐘も、神社の太鼓も、朝市の売り子の声も聞こえない。ただ、彼の散策ルートをたどることで再発見できるかもしれないものへの期待だけが胸に広がっていた。

 最初の目的地は大橋川と宍道湖の合流地点。ハーンが朝霧を褒めたたえた場所だ。この日、その光景を目にすることはなかったが、...