第九章・隠居と縁組み(32)

 

「今日は話があって来てもらった。そなたの縁談のことだ」

 利常はかなり用心深く切り出した。

「はい」

 富(ふう)は短く応じただけだった。

 化粧っ気も愛想もない娘...