中国電力島根原発で事故が起きた際に松江、出雲、安来、雲南の4市の避難者を受け入れる岡山、広島両県の49市町村に対し、両県の二つの市民団体が避難所の確保状況などを尋ねる質問状を送った。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ体制となっているかどうかを確認する狙い。広島県側の団体は未整備の場合、島根2号機の再稼働に反対するよう呼び掛ける。
原発30キロ圏内の住民が県境を越えて逃げる「広域避難計画」は島根県が作成した。いずれも最多のケースで、岡山県内の27市町村に松江市の6万4840人、安来市の3万4340人が避難し、広島県内の22市町に松江市の5万980人、出雲市の8万9330人、雲南市の3万1470人が逃げる内容になっている。
質問状を出したのは「さよなら原発1000万人アクションin岡山実行委員会」(岡山県)と「原発はごめんだヒロシマ市民の会」(広島市)の2団体。各市町村に対し、感染拡大を防ぐ対策を盛り込んだマニュアルの有無などを回答するよう求めた。9月末に結果を取りまとめる。
広島県側の団体は質問に合わせ、中電と広島県の間で原発事故に備えた情報連絡協定を結ぶよう県への働き掛けを各市町に要望した。木原省治代表は多くの市町村は感染対策を取った場合、避難者を収容する十分なスペースが確保できない恐れがあると指摘。「少なくともコロナ禍に対応した避難者の受け入れ体制が整うまでは再稼働すべきではない」と話した。 (新藤正春)