先日、高齢の知人が10日間ほど入院した。その病院では宅配の新聞が病室まで配達されない。治療の関係で売店まで買いに行けない日もあるという。朝刊を開くという数十年来の日課ができないと、手持ち無沙汰になる▼入院前、本紙の電子版が読めるように、タブレット端末に「Sデジ」アプリを設定した。「これで病室でも新聞が読める」と喜ばれたが、端末はWi-Fiがないとアプリを読み込めない設定になっていた。病院に確認すると、入院患者向けのWi-Fiはないという。仕方がないので携帯電話会社と契約した別の端末を用意し、知人は無事に日課をこなした▼がん経験者らでつくる「#病室WiFi協議会」が、全国563カ所にあるがん治療の拠点病院などを対象にした初の調査結果を発表したが、全病室でWi-Fiが無料で利用できるのは2割ほどだった。このうち島根は6施設中1施設、鳥取は5施設中1施設と導入は少数派だ▼スマートフォンやタブレット端末は新聞だけでなく、読書やテレビ電話など、気休めの重要な道具となる。特にコロナ禍で面会もままならない昨今、価値感は高まる▼闘病中でも、なるべく日常生活に近づけたいと誰しもが思う。それがWi-Fiどころか、いまだにテレビ視聴に有料のカードが必要な施設も多い。高いテレビを見るくらいなら、病気にならなければいい。健康維持に努めたい。(釜)