「上淀廃寺式」と呼ばれる山陰地方独特の文様の軒先瓦=米子市淀江町福岡、上淀白鳳の丘展示館
「上淀廃寺式」と呼ばれる山陰地方独特の文様の軒先瓦=米子市淀江町福岡、上淀白鳳の丘展示館

 国内最古級の彩色仏教壁画が出土した米子市淀江町福岡の国史跡・上淀廃寺跡の発見から30年を記念した企画展が19日、近くの上淀白鳳の丘展示館で始まった。国の重要文化財・法隆寺金堂壁画と同じ白鳳時代(7世紀後半~8世紀前半)のものとみられる壁画の破片や遺物60点が並び、来場者が見入っている。11月29日まで。

 上淀廃寺跡では1991年、菩薩(ぼさつ)の頭や花などを描いた壁画片約1300点が出土。仏教伝来当時の日本がうかがえる古代寺院跡として注目を浴びた。96年3月に国史跡に指定された。

 企画展は壁画片のほか、山陰地方特有の「上淀廃寺式」と呼ばれる蓮華(れんげ)文様の軒先瓦「単弁十二葉蓮華紋軒丸瓦」(直径20センチ)や、土づくりの塑像の復元時に全長を割り出す手掛かりとなった螺髪(らほつ)などを展示した。

 主任学芸員補佐の井上玲美さん(32)は「上淀廃寺は当時を物語る出土遺物が数多くある。展示から昔の寺の姿に思いをはせてほしい」と話した。

 午前9時半~午後6時(最終入館は午後5時半)。火曜休館。入場料は一般310円、高校生・大学生160円、中学生以下は無料。10月20日からは展示物を一部入れ替える。 (岩垣梨花)