球団創設87年のプロ野球巨人では、過去90人が4番打者を務めた。世界の本塁打王・王貞治さん、ミスタープロ野球こと長嶋茂雄さんの「ONコンビ」を筆頭にスーパースターの名前が思い浮かぶ▼最新の90代目が丸佳浩選手。昨年9月、腰痛で欠場した岡本和真選手の代役を務め、1安打3四球で勝利に貢献。「気負うことなくしっかりつなぐことができた」と4番の役割をこなした▼ところが岡本選手の復帰が早く、丸選手の4番は2試合で終わった。データを見ると90人中15人が「1試合だけの4番」。伝統の重みが薄れている▼さて、こちらの重みはどうか。節目となる100代目の首相に自民党総裁選を制した岸田文雄氏が選出された。新首相は自らの特技を「人の話をしっかり聞くこと」という。党の実力者ではなく、国民の話をしっかり聞き、新型コロナウイルスや人口減少対策に全力を傾けてほしい▼初代首相の伊藤博文の就任から136年。天皇に任命されて総辞職するまでを1代と数えるため、実際に務めるのは64人目になる。前任の菅義偉氏を含め、1年前後の短命で退陣する例も多い。とはいえ、在職年数の長短は関係ない。国民のためにどれだけ仕事をしたのかで評価されるべきだろう。ONコンビのように後世に名を残すスーパースターでなくていい。チーム(日本)の勝利(発展)に貢献する「4番の仕事」をこなしてほしい。(健)